2012年10月30日火曜日

2012 第6回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その5

作品発表

第1課題、決着のときです。
まずは全員で鑑賞、その後、学生それぞれの視点でベスト1作品を選び、ポストイットで記名投票してもらいました。

得票数の多かった作品については、投票した人から数名にコメントをもらい、その後で作者に「どんなテーマで」「何をどのように」「どんな工夫をしたか」を簡単に説明してもらう、というスタイルで共有をしました。

全体の印象として、おもちゃの表面的なかたちにとらわれすぎて、その本質を表現するに至っていないのが残念、という感じです。関係性のないデータどうしをグラフで比較したり、対象からかけ離れたメタファで特徴を説明しているのも、気になるところ。ここに例示したものは、学生たちの評価は高く、実際ていねいに魅力的に表現されています。しかし、この3歩先くらいに、こちらが期待しているゴールがあることを忘れないでほしいですね。


▲いいところまで来ているので惜しい・・・。本質を見極める力、練習して手に入れてください。


これまでのレーポートについてフィードバック

表現作品を自分の力で完成させた経験をふまえて、これまでの二つのレーポートについてもフィードバックを行いました。
レポート課題は「第1回授業:インフォグラフィックスとは何かを調べよ」「第3回授業:うごくおもちゃの背景にある科学的原理や機構について説明しなさい」でしたね。
ひとつ目のレポートについては、「インフォグラフィックス」の本質にたどり着けず、「ピクトグラム」のあたりで妥協してしまった人が多かったのが残念です。「ピクトグラム」もインフォグラフィックスの一部ととらえてよいと、私は思います。しかし、トイレのマークや信号はそのほんの端っこをかじったレベルです。
インフォグラフィックスマでたどり着いた人でも、その例がみんなこれ(Coffee Drinks Illustrated)だったのも、とても気になります。
相談してやるならもっと広く調べられたと思うし、誰かのレポートを見てまねただけなら残念な結果ですね。
二つ目のレポートは、ちゃんと調べて人たちのものは、とても面白かったです。
ラジオメータやぽんぽん船を調べた人たちは、かなり勉強になりましたね。

第2課題:新しいうごくおもちゃを提案する その1

さてここからは新たな課題に挑戦です。

ここまで調べて表現してきたおもちゃを手がかりに、新しいおもちゃを提案してみましょう。
この課題ではプロトタイピングがカギです。短期間のうちに、最低3回は「モノ」を作ってもらいます。
まず調べた様々な特徴から、そのおもちゃの本質を取り出して模型化してみてください。
提案するおもちゃはまずかたちにしてみて、その提案の妥当性を確認した上で、「モックアップ」として最終提示してください。
ヒントとして、今回の制作プロセスを図にしておきますね(画像クリックで拡大表示)。

今日は、グループで、おもちゃの特徴を再度抽出する活動まででした。制作時間は、実質的に次回1回分だけです。成果を楽しみにしています。

2012年10月23日火曜日

2012 第5回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その4

作品制作

本日は出張のため、柳先生に授業の進行をお願いしています。
手描き作品でどこまでできるか、勝負ですよ。

2012年10月16日火曜日

2012 第4回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その3

前回のスケッチを共有


おもちゃそれぞれについて、相当な数の表現が生まれました。これらすべてがこれから表現するための資源、財産になります。



調べてきた物理現象の共有(最後に回収)
グループごとに、それそれが興味を持ったおもちゃの持つ科学的、物理的なメカニズムを宿題として調べてきました。それを各ブループ内で共有しました。


チームで選ぶおもちゃの検討→決定



インフォグラフィックスのデザインについてのレクチャー

視覚表現の基本要素は「点」「線」「面」「配置」「色」
点:存在を表す。そのかたちによって特徴(属性)を表現。具象から抽象そしてデフォルメまでを表現でコントロールしよう。
線:つながりを表す。太さ、長さ、描画方法(タッチ)、方向などによって、つながりに意味を持たせることができる。
面:領域を表す。かたちによってその空間の特徴を表現。そのまま面で表す方法と線で囲む方法を使い分ける。
配置:位置関係には意味がある。左右=並列、上下=階層。関係の深いものほど近くに=群化、まとまり。
色:図と地の関係によって意味を持たせることができる。基本は同系色=調和、補色=対比。これらの度合いをコントロールすることで全体のバランスを整える。


▲図のタイトルは「インフォグラフィックスの世界」ですが内容はインフォグラフィックスの要素(画像をクリックで拡大)

図解表現のレベル
ピクトグラム:モノをシンボル化する
数値を視覚化:数の視覚化、量の視覚化。ピクトグラムを連続的に並べることで、数や量を線や面として表現できる。
データの関係性を視覚化:グラフ。複数のデータの関係性を見る道具。解釈は見る人に委ねられる。
因果関係の視覚化:チャート。時間軸(順序)を持った関係性の表現に用いる。
位置関係、階層の視覚化:地図。空間的な位置関係を示す。ある領域の中でのそれぞれの位置。包含関係の表現。
見えない部分の視覚化:図解。イラストレーションとは、光を当てる、明らかにする、という意味。見えない部分を切り開いたり透過させたり分解したりすることで、見えるように示す。



属性について再度抽出、ディスカッション(グループ)
グループで以下のポイントを再確認しながら、作品制作に向けた準備を進めます。

観察の精度をあげる
→具体的な視点、具体的なデータがないと、絵にならないんです。

水の軌跡、玉の軌跡、移動の軌跡
形状の精度
計り方:条件と結果の対応
複数の視点の組み合わせ


次週23日:インフォグラフィックス制作

対象としたおもちゃの概要、
動きの特徴とその背景にある科学的原理を図解しなさい。
※手描き、A3用紙一枚にまとめる。
進め方は・・・
・アイデアスケッチ(10バージョン程度)で徐々に完成度を上げていく
・清書としてケント紙にまとめる
・授業時間内に決着を付ける(その上で宿題としてさらなるバージョンアップを)

再来週30日:発表会、新しいおもちゃの企画

2012年10月9日火曜日

2012 第3回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その2

今回も、表現しながら考えるトレーニングが目的です。

前回は、まずユーザとしておもちゃで遊ぶ体験を自分のからだの中に取り込むことと、止まった状態のおもちゃの観察=スケッチを通して、形態の特徴をなぞってみるという体験と理解のプロセスでした。


今回は、おもちゃの動いている状態の観察がテーマです。その方法として「測る」と「データの視覚化」という測った結果をどう表現すれば共有できるかを考え実践する時間としました。
前半は「測る」、後半は「データの視覚化」が活動の目的です。

測る


各グループで、前回予め想定した測定方法で、おもちゃの様々な属性をデータ化していきます。寸法や重さはもちろんですが、動きの奇跡や量、位置の変化など、おもちゃの動きに関係する属性・変数をどう取り出すかがポイントです。
・属性を見つけるための視点を持つ

データの視覚化


集めたデータを、他の人と共有できるように視覚表現に変換します。単にグラフや表にするのではなく、そのおもちゃの特徴が伝わるような表現の可能性を探る、練習課題です。
とはいえ今日も、たくさん描くことが第一のミッション。目標枚数は一人20枚!
・数や量を視覚化するための方法を探る

宿題

次回はいよいよグループごとに対象とするおもちゃを決め、そのインフォグラフィックスの制作に入ります。その準備として、以下を宿題としました。
今回用意されたそれぞれのおもちゃに関係する、科学的な原理(動くしくみや物理現象、化学反応)について調べ、報告しなさい(個人作業)。
・A4用紙縦位置
・全て手描き
・枚数指定なし
これを資料に来週、グループで対象とするおもちゃをどれにするかを決めていきます。

2012年10月2日火曜日

2012 第2回

第1課題:うごくおもちゃを図解する

さていよいよ、今日から具体的な演習内容に入りました。
前半の「うごくおもちゃ・・・」の題材に選ばれたのは、
「ぽんぽん船」
「ブリキのおもちゃ:ゼンマイ駆動」
「バケツの玉落とし」
「まゆ玉落とし」
「とことこ動物」
「ラジオメーター」
「水鉄炮」
「オルゴール」
授業開始前から、学生たちの目は釘付け!?
今日の大テーマは「観察」。写真に撮って調べた気になる、というのでは、デザイナーとしては話になりません。目をつぶってもその形や手に持った記憶を思い出せるくらい、充分に観察してもらいましょう。

1.おもちゃで遊ぶ

今日の最初のセッションは「遊ぶ」です。グループ単位でローテーションしながら、一通りおもちゃに触ってもらいました。
インフォグラフィックスの表現にあたって、まず何より、そのおもちゃを好きになってもらわなければなりません。30分という時間制限を設けましたが、まずはそれぞれのおもちゃで思いっきり遊んでもらいました。ただし、無心にただ遊ぶのではなく、そのおもちゃでの遊びの体験を体に染み込ませることが目的です。
水鉄炮は、予想どおり撃ち合いが始まり、男子数名は水びたし。風邪、ひかないでね・・・。
歓声が上がっていたのは「ぽんぽん船」。ポニョの世界ですね。「ぽこぽこぽこぽこ・・・」という何とも心地よい音を立ててバケツの中を動き回っていました。

points:
1人のユーザとして本気で対象を体験する。
まず、対象を好きになる。

2.おもちゃのスケッチ

第2セッションは、「かたちをとらえる」。対象のおもちゃをしっかり見て、そのかたちの特徴を線でなぞってもらいます。要はスケッチですが、大事なことは、対象をしっかり見て、自分の体全体を使って対象の特徴をつかむこと。上手に描くことが目的ではなく、これも自分が対象を理解するための経験として、様々な角度や視点で対象をとらえる練習です。

目標はひとり30枚以上。A4サイズの紙とペンや鉛筆を使って、ひたすらスケッチ。
デザインプロセスの中では「アイデアをたくさん出しなさい」と要求されますが、実際にアイデアをたくさん出した経験の無い学生クンにとっては、それがどれだけの手間と時間がかかるかの実感値もないでしょう。今回は、「アイデアを考える」というプロセスは省いて、とにかくたくさん描く、という体験に焦点を当ててみました。ひとつのおもちゃを30種類の視点から描いてみる、というだけでも充分に創造的な活動だとも思います。
ここからはちょっとサービスし過ぎかと思いましたが、いちおう、何をどう描くかという視点は提供しました。
・全体の輪郭線を描く
・光の当たっているハイライトの部分だけを描く
・逆に影の部分だけをとらえて描く
これらを四方から描くだけでもう3×4=12枚!
ほら、アッという間にたくさんの絵が描けてしまうんです。
さらにそのおもちゃを特徴づける「部分」のクローズアップ。これも何種類か描けばアッという間に30枚到達・・・のはずです。
ただ、今日はいろいろなおもちゃが用意されているので、他のおもちゃも描いて欲しいと思い、15枚くらい描けてところで他のおもちゃにローテーションしてもらいました。
活動時間は休憩を間にはさんで2時間。じっくり集中しててを動かせたと思います。


そして最後は、グループメンバーのひとりにモデルになってもらい、「使っている人」の姿も一緒に描いてもらいました。

points:

たくさん描くためのコツをつかむ。 観察=描くこと。写真のトレースでは何も解らない。

3.振り返り

今日の活動内容を全員で振り返るために、それぞれのスケッチを床に並べてみました。

ところで、この並べ方というのも重要。ただ置けば良いのではなく、人に見てもらうのだから、重なっていたり曲がったいたりするのはNG!。こういった「お作法」もしっかり意識してもらわなくてはね。
他の人の表現もしっかり見て、30枚という量としての意味や価値を認識してもらうとともに、短時間でたくさん描くための描き方や、資料として使える記述方法のしてのスケッチの可能性・・・などなど、それぞれが今日の体験を自分のモノとして意味づけができ、字部でもやり始めることが出来れば大成功という感じです。
points:
活動の結果を俯瞰し、アイデアの種を見つけ出す
モノの並べ方や配置にも、その人のデザインに対する心構えが現れる

さて、次回のテーマは「測る」。
今日は静止した状態のおもちゃを観察しましたが、次回は動きの観察です。
測るための道具をいろいろ準備して、授業に臨んでください。
定規や分度器は当たりまえ。計量カップや重さ用の測り、糸やアクリル板など、題材が解っているのでそれに合わせた軽装のための道具を用意できるかも、デザイナーの能力ですよ。