2012年12月18日火曜日

2012 第13回

今日は年内最後の授業、そしてプロジェクトの中間発表会でもあります。
さて、どんな提案が打ち出されるのか?



みんなで作ろう西部地図(H)
西部地区のいくつかのスポットに情報キオスクを置いて、人々が投稿した写真を提示しようという案。
既にあるSNSや観光ガイドと何が違うのかな?

金森1/4出張(G)
西部地区の様々な店舗が、赤レンガ倉庫の一角に、実際の店舗の1/4規模のミニ・アンテナショップを週替わりや月替わりで出展するというアイデア。
参加する店舗にかかる負荷を、どう担保するの?

函館モビリティの提案(F)
レンタル自転車に注目したところまではいいのだが。
このグループは、まだアイデアがまとまっていなかったね。


「挑戦」を促す提案(E)
「挑戦」とは、自分もやってみたいという気持ちを起こさせるということらしい。坂が多い西部地区に、サンフィランシスコのようなケーブルカーを新たに敷設し、車両から自由に乗り降りできるようにする提案。ショッピングバックを統一するという提案も。
この計画に誰がどう責任を取るのかな?

Terra Stellar(D)
バスを改造した移動式カフェを運行し、光の少ない場所で星空を眺めるイベントの提案。バスの窓から観光を楽しむという案も含まれている。
夜はそんなに景色は見えないよ。バスで動ける範囲は限られているしね。

ウェスタン建築(C)
様々な店舗のファサードを、洋風・和風混在した西部地区の建築に合わせて見栄えを変えてしまおうという提案。さらに、歩いて歩ける範囲に必要な店舗をまとめることで、学生が住みやすくなるという提案。
断片的にできそうなこともあるけど、机上のアイデアの域を出ていない。誰がお金を出すの?説得する覚悟ある?

Candle Lights(B)
店舗の入り口にろうそくをともそうというイベント企画。
風の強い函館で、火を使う企画は厳しいんじゃないかな。
はこだて光の小径」というイベントがあるけど、知っていたかい?

新しいモビリティ(A)
このグループもアイデアがまとまっていない状況。
4つのアイデアを方向性で分けてしまっているが、むしろ4つのテーマを覆う大きな視点で捉えた時、どんな可能性が見える?



発表全体に言えることですが、せっかく自分が実際にその場に行って体験したことが全く置き去りにされて、人ごとのような提案ばかりになってしまっていたのが残念です。
メインのターケットユーザは「未来大生」すなわちこの授業の受講生自身です。その受講生への質問として、「この企画が実現したら、自分は何度でも西部地区に通ってしまうと思いますか?」という問いに「はい」という応えが半数を超える提案はひとつもありませんでした(多くても数人だったね)。つまり、自分自身にとって関わりのある課題として取り組めていないということです。

もう一度、確認しよう

発表に全然、インフォグラフィックスが使われていなかったのがとても残念です。また、提案内容がスケッチされていない(実現のイメージが描けていない)のも、皆さんの実力不足と感じます。「図解する」「絵を描く」を今、徹底的に体にしみ込ませてください。
・「簡単」「便利」が本当に活動の動機なのか?
・視点を動かして価値を見つける
ないものをどこからか借りてくるのでなく、目の前にあるものをどう楽しむか(価値に変換するか)、を出発点に。ネガティブなイメージをどうポジティブに変えるか。例えば、冬の吹雪の中、街を歩くのは大変?では、どうしたら、吹雪の街中を歩くのが楽しくなりますか?(そんな日に外出したいと思えるようになりますか、どんなことをして過ごしますか・・・など、問いを少しずらしてみるのもアリ)
・掘り下げる。調べる。
問題、課題と感じたら、なぜそうなのか、改善を試みた例はないのかを、すぐに調べる。歴史的な資料に当たったり、実践例を調べるのは当たり前。そこから成功例/失敗例、課題の本質や応用の可能性を見つけることができる。
・アイデアはすぐ試す。
「プロトタイピング」もこの授業の重要なトレーニング要素です。思いつきも、すぐ、その場で、試してみてください。ショッピングバッグをもって街中を歩いてみてください。そんなにインパクトありますか?夜、車で街中を走ってみてください。車の中から街の魅力を発見できますか?街中に端末?ノートパソコンを街中で広げて、写真を見てみてください。ある程度経験を積んだ大人なら、結果がどうなるかはいわずと知れますが、そういう想像力がないのなら、すぐに試してみるべきです。「やってみ中やわからない」は「すぐやってみればわかる」に。
・あなたは本当にそれが欲しいの?
お金を払ってでも、それを手に入れたいと思いますか?あなたが欲しくないものを、他の人にやれ、と強要するのですか。
・リアルに妄想する。
街を作り替える?ケーブルカーを敷設?町中にキオスクを?そういう絵空事ではなくて、おじいちゃんおばあちゃんと未来大生が、ベンチで雑談に耽っている場面を妄想してください。子連れの若いお母さんと未来大生がすれ違いながら挨拶をかわす場面を妄想してください。そこはどこですか?その周りには何がありますか?その人たちはどうやってそこに行ったのですか?何のためにそこにいるのですか?
思いつきをアイデアにし、実現可能なプランに昇華していくのは、すごくパワーがかかります。学生にとってはつらいこととにか感じられないかも。でも、このハードルを乗り越えて、そのプランが実体化したときに、初めて快感や満足を得られるのです。早くここまできて欲しい。

参考文献もいくつかあげておきます。この機会に読書も!

◉山崎 亮、『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』
学芸出版社、2011年

◉ティム ブラウン Tim Brown、
『デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方』
早川書房、2010年

◉阿部仁史、本江正茂、小野田泰明、堀口 徹、『プロジェクト・ブック』彰国社、2005年



さて、授業としてはあと2週分。ここからどこまでジャンプできるか。楽しみにしていますよ。
アウトプットのまとめ方については次の投稿で。