2012年12月18日火曜日

2012 第13回

今日は年内最後の授業、そしてプロジェクトの中間発表会でもあります。
さて、どんな提案が打ち出されるのか?



みんなで作ろう西部地図(H)
西部地区のいくつかのスポットに情報キオスクを置いて、人々が投稿した写真を提示しようという案。
既にあるSNSや観光ガイドと何が違うのかな?

金森1/4出張(G)
西部地区の様々な店舗が、赤レンガ倉庫の一角に、実際の店舗の1/4規模のミニ・アンテナショップを週替わりや月替わりで出展するというアイデア。
参加する店舗にかかる負荷を、どう担保するの?

函館モビリティの提案(F)
レンタル自転車に注目したところまではいいのだが。
このグループは、まだアイデアがまとまっていなかったね。


「挑戦」を促す提案(E)
「挑戦」とは、自分もやってみたいという気持ちを起こさせるということらしい。坂が多い西部地区に、サンフィランシスコのようなケーブルカーを新たに敷設し、車両から自由に乗り降りできるようにする提案。ショッピングバックを統一するという提案も。
この計画に誰がどう責任を取るのかな?

Terra Stellar(D)
バスを改造した移動式カフェを運行し、光の少ない場所で星空を眺めるイベントの提案。バスの窓から観光を楽しむという案も含まれている。
夜はそんなに景色は見えないよ。バスで動ける範囲は限られているしね。

ウェスタン建築(C)
様々な店舗のファサードを、洋風・和風混在した西部地区の建築に合わせて見栄えを変えてしまおうという提案。さらに、歩いて歩ける範囲に必要な店舗をまとめることで、学生が住みやすくなるという提案。
断片的にできそうなこともあるけど、机上のアイデアの域を出ていない。誰がお金を出すの?説得する覚悟ある?

Candle Lights(B)
店舗の入り口にろうそくをともそうというイベント企画。
風の強い函館で、火を使う企画は厳しいんじゃないかな。
はこだて光の小径」というイベントがあるけど、知っていたかい?

新しいモビリティ(A)
このグループもアイデアがまとまっていない状況。
4つのアイデアを方向性で分けてしまっているが、むしろ4つのテーマを覆う大きな視点で捉えた時、どんな可能性が見える?



発表全体に言えることですが、せっかく自分が実際にその場に行って体験したことが全く置き去りにされて、人ごとのような提案ばかりになってしまっていたのが残念です。
メインのターケットユーザは「未来大生」すなわちこの授業の受講生自身です。その受講生への質問として、「この企画が実現したら、自分は何度でも西部地区に通ってしまうと思いますか?」という問いに「はい」という応えが半数を超える提案はひとつもありませんでした(多くても数人だったね)。つまり、自分自身にとって関わりのある課題として取り組めていないということです。

もう一度、確認しよう

発表に全然、インフォグラフィックスが使われていなかったのがとても残念です。また、提案内容がスケッチされていない(実現のイメージが描けていない)のも、皆さんの実力不足と感じます。「図解する」「絵を描く」を今、徹底的に体にしみ込ませてください。
・「簡単」「便利」が本当に活動の動機なのか?
・視点を動かして価値を見つける
ないものをどこからか借りてくるのでなく、目の前にあるものをどう楽しむか(価値に変換するか)、を出発点に。ネガティブなイメージをどうポジティブに変えるか。例えば、冬の吹雪の中、街を歩くのは大変?では、どうしたら、吹雪の街中を歩くのが楽しくなりますか?(そんな日に外出したいと思えるようになりますか、どんなことをして過ごしますか・・・など、問いを少しずらしてみるのもアリ)
・掘り下げる。調べる。
問題、課題と感じたら、なぜそうなのか、改善を試みた例はないのかを、すぐに調べる。歴史的な資料に当たったり、実践例を調べるのは当たり前。そこから成功例/失敗例、課題の本質や応用の可能性を見つけることができる。
・アイデアはすぐ試す。
「プロトタイピング」もこの授業の重要なトレーニング要素です。思いつきも、すぐ、その場で、試してみてください。ショッピングバッグをもって街中を歩いてみてください。そんなにインパクトありますか?夜、車で街中を走ってみてください。車の中から街の魅力を発見できますか?街中に端末?ノートパソコンを街中で広げて、写真を見てみてください。ある程度経験を積んだ大人なら、結果がどうなるかはいわずと知れますが、そういう想像力がないのなら、すぐに試してみるべきです。「やってみ中やわからない」は「すぐやってみればわかる」に。
・あなたは本当にそれが欲しいの?
お金を払ってでも、それを手に入れたいと思いますか?あなたが欲しくないものを、他の人にやれ、と強要するのですか。
・リアルに妄想する。
街を作り替える?ケーブルカーを敷設?町中にキオスクを?そういう絵空事ではなくて、おじいちゃんおばあちゃんと未来大生が、ベンチで雑談に耽っている場面を妄想してください。子連れの若いお母さんと未来大生がすれ違いながら挨拶をかわす場面を妄想してください。そこはどこですか?その周りには何がありますか?その人たちはどうやってそこに行ったのですか?何のためにそこにいるのですか?
思いつきをアイデアにし、実現可能なプランに昇華していくのは、すごくパワーがかかります。学生にとってはつらいこととにか感じられないかも。でも、このハードルを乗り越えて、そのプランが実体化したときに、初めて快感や満足を得られるのです。早くここまできて欲しい。

参考文献もいくつかあげておきます。この機会に読書も!

◉山崎 亮、『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』
学芸出版社、2011年

◉ティム ブラウン Tim Brown、
『デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方』
早川書房、2010年

◉阿部仁史、本江正茂、小野田泰明、堀口 徹、『プロジェクト・ブック』彰国社、2005年



さて、授業としてはあと2週分。ここからどこまでジャンプできるか。楽しみにしていますよ。
アウトプットのまとめ方については次の投稿で。

2012年12月11日火曜日

2012 第12回

アイデアを広げるアイデアを絞り込む

1.photo KJ法

宿題を持ち寄って次の活動を行う。
模造紙上に、それぞれの写真を一人ずつ順番においていく。
写真を出すときに、その内容を説明する。
関係の深そうなものを近くにまとめながら。


ひととおり配置したら、まとまりごとにラベルを付ける。
ラベルを付け終わったら、全体を図化し、説明してみる。

・メンバーが街のどんな部分に関心があるか(集中、偏り、見落としを確認)
・街の現状を共有する(何がどうなっているか)

※ここでは、問題提起やアイデアの提示はしない。

2.テーマを決まる

3つの表現物を照らし合わせながら、何を課題に提案を進めていくかを決める。
授業課題として、「移動」「何度も行きたくなる」は外さない。
クライアントを決める。

・制作した二つの地図とスケッチや写真で描かれた現状空間をもとに
 新たな世界観を合成して可能性空間を描く
 (必プロトタイピング)

3.ブレインストーミング

アイデアをたくさん出す。
ことばのみは禁止、絵で表す。
重ねる。バラバラに出さず、ひとつ出したらそれにかぶせていく。

4.プロトタイピング

・具体的な提案内容に絞り込む

かたちにしながら、ゴールを見つける。

5.来週のプレゼンに向けた計画を立てる

6.実制作




2012年12月4日火曜日

2012 第11回

経験の視覚化

先週のフィールドワークの振り返りです。
二つの表現で、体験の全体像を描いて、共有するのが今日の第一ステップです。
・体験地図1=空間表現(移動の全体像を図解)
・体験地図2=時間表現(ジャーニーマップを使って時系列で記述)
このふたつの表現で、グループメンバーの体験を俯瞰します。

経験空間地図

イベントを位置関係によって俯瞰すると、どんなことが解るでしょうか。
この表現では、距離を尺度にして、近い、遠い、という関係性を視覚的に表現することができます。
地図の特徴として、複数の要素(イベント)の集中度や偏りが視覚化されます。

経験時間地図

イベントを時間順に並べることで俯瞰すると、何が見えてくるでしょうか。
こちらの表現では、時間軸を尺度として、各イベントのタイミングが視覚化されます。
結果として浮かび上がる表現としては、「時間」を「距離」に置き換えたものとも言える。つまり、時間間隔が短いものは近くに、時間間隔が離れたものは遠くに位置づけられるわけです。
各要素のつながり方から、タイミングやパターンの発見が可能になります。

参考:超整理法、エクスペリエンスジャーニーマップ/カスタマージャーニーマップ



スケッチの構造化
全体を見てグルーピング、メンバーが何を見てきたか、何が足りないかを確認

今後のスケジュール

◉12月4日(今日)
経験の視覚化
・体験地図1=空間表現(移動の全体像を図解)
・体験地図2=時間表現(ジャーニーマップを使って時系列で記述)
スケッチの構造化
全体を見てグルーピング、メンバーが何を見てきたか、何が足りないかを確認

◉12月11日(次回)
アイデアを広げる
・制作した二つの地図とスケッチで描かれた現状空間をもとに
 新たな世界観を合成して可能性空間を描く
 (必プロトタイピング)
アイデアを絞り込む
・具体的な提案内容に絞り込む

◉12月18日(年内最終)
中間発表
・提案内容の企画書
・方向性を確認するためのプロトタイプ
・提案の結果期待される体験
(ストーリーボード、ビデオプロトタイプ、アクティングアウトなど)

◉1月8日
制作日
プロトタイプのブラッシュアップ、評価

◉1月15日
月曜振替

◉1月22日(授業最終日)
授業としての最終成果確認
展示/プレゼンテーションの準備

◉2月 展覧会形式による発表(有志?)
展覧会期間:2013年2月7日~2月11日(6日夜搬入)
青年センター 1階ロビー

2012年11月27日火曜日

2012 第10回

今日はフィールドワーク

あいにく天気は雪。事故やけがに気をつけて。

2012年11月22日木曜日

青年センター訪問

成果発表の場を学外に

学生たちが函館で生活しているにもかかわらず、街の中にあまり出て行ったいないという事実。そして、地域におけるはこだて未来大の認知度が実感値として低い・・・ということで、「もっと街中で暴れよう!」という仕掛けをいろいろと画策しています。
その文脈で、青年センターの方たちと話す機会があり、いろいろお話ししたところ、「ぜひご活用ください」とのアドバイスをいただき、早速行動に移すことにしました。
今日はその打ち合わせで、青年センターを訪問してきました。

函館市青年センターで成果発表を

結果として、
展覧会期間:2013年2月7日~2月11日
青年センター 1階ロビーを利用
※2月6日搬入、11日夜搬出
※卒展に合わせて、学生が街に積極的に出て行く機会とする
※公開プレゼンを2月7日にして、卒展の前夜祭と位置づける
というような趣旨で概要をまとめてきました。
当初は授業の枠内で、日程調整を考えていました。しかし、2年生にとって「成人式」は大切なイベントであるということ、その後の試験週間もがんばって欲しい、という2つの制約から、展示イベントの1月開催は難しいと判断しました。
授業の期間を外れるので、受講生の皆さんとはこれから相談することになります。有志による開催というかたちになるかもしれませんが、できれば全員参加でこのイベントを実施したいというのが、私の思いです。

2012年11月20日火曜日

2012 第9回

今日のメニュー

前半:レクチャー
1.前回の課題のふりかえり(原田)
2.第3課題のオリエンテーション(原田)
3.事例:自転車のデザイン(柳)
4.事例内容の図解
5.グループ分け、チームビルディング

後半:プロジェクトスタート
テーマ設定
仮説設定/活動計画
(特に来週、何をしに西部地区に行くかを決める)
プラン発表(準備:模造紙、付箋)

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第3課題:はこだてモビリティ

函館西部地区に、日常的に
若い人たちが集まる活動を提案する。

具体的には西部地区での活動とその移動手段を提案する。
・まず自分自身が継続的にやりたい、やれる。
・それを続けることを誇りに思える。
・他の人にも勧めたくなる。
・それに関わる人だけでなくその周囲の人々もハッピーになる。
(イベントやクーポンのような短絡的、単発的なものはNG)
・続けていくと社会がどう変化するかも予測する

ターゲットユーザー:未来大の学生、20〜30代の社会人、観光客
クライアント(出資者、実施者):函館市(企画局交通部)、自転車メーカー、函館市内の各種事業者(新聞社?造船業?市場?ホテル?)

アウトプット

模型+ビデオプロトタイピングで「新たな体験」のストーリーテリングを行う。
・新たな体験の全体像を説明するインフォグラフィックス
・新たな体験のための道具立て(プロトタイプ)
・新たな体験を実感させるムービー
・提案全体を説明する企画書

スケジュール

11月27日(火):フィールドワーク
12月18日(火):中間発表(プロジェクト内での共有)
1月08日〜22日までの1週間で展覧会と最終プレゼンテーション

プロセスについて

動くおもちゃで体験したデザインプロセスを、別のテーマ・対象に向けて応用する。

調査して、特徴(属性)を抽出し、そこから価値を見つけ出し
新たなかたち(モノ、コト)として提案する活動の応用編。

グループごとにミッションを設定し(行き先や目的)、
街(西部地区)を歩き、体験や発見した事柄を図解する。
地図、図譜(チャート)など。

描かれた図から背景をはずし、
自分たちの経験の本質を見極め

浮かび上がった経験を元に、
発見した価値、いま足りないサービスを見つける。
ユーザは自分自身。
お祭りやイベント案はNG。
日常活動、生活の価値として。
これがあれば西部地区に住みたい、と確信するもの。

新たな体験を
もう一度、地図や図譜にマッピングする。

そこに自分たちの姿や活動を置くために
どんなしくみが必要かを考える。


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2012年11月13日火曜日

2012 第8回

第2課題:新しいうごくおもちゃを提案する その3

あっというまに、今日はプレゼンテーション。



2012年11月6日火曜日

2012 第7回

第2課題:新しいうごくおもちゃを提案する その2

本日は第2課題の制作日。
受講生の皆さんにはとにかく手を動かしてもらうことを期待した3時間でした。
が、話し合いが長いね〜。なのにアイデアは広がらず、コンセプトは固まらず、テーマの本質にも迫れず・・・みたいなことになっているんでないかい?


後半になってやっと手が動き始めました。ただ、かなり決め打ちな印象。ここからさらにアイデアを展開するところまで、いけるかが重要なんだな。

一方で、時間いっぱい話し合いに終始するグループも。必死にアイデアを絞り出す、という経験をしてほしいんですけどね。

デザインというクリエイティブな世界の勉強をしている限り、楽だからといって、小さな殻に閉じこもって、小さな枠に収まった活動をして・・・、だけで満足して欲しくないなぁ。


さて、来週はもうプレゼンテーション。現時点では不安一杯ですが、この一週間でひとヤマ超えて、はじけた提案がたくさんでてくることを期待してます。
ところで、この板書の右上の図、誰からも質問が来なかったけど、こういうこと、気にならないのかなぁ?
次回の授業で、説明はしますね。

今日のつぶやき
待っていれば面白いことや自分のやりたいことが見つかるわけでも目の前にやってくるわけでもなく、目の前の問題をどうやったら面白いことに変えられるか、まずはやってみる、やり遂げることで、もっとやりたいことかどうすれば自分のやりたいことになりそうかが解るんだけどなぁ。

2012年10月30日火曜日

2012 第6回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その5

作品発表

第1課題、決着のときです。
まずは全員で鑑賞、その後、学生それぞれの視点でベスト1作品を選び、ポストイットで記名投票してもらいました。

得票数の多かった作品については、投票した人から数名にコメントをもらい、その後で作者に「どんなテーマで」「何をどのように」「どんな工夫をしたか」を簡単に説明してもらう、というスタイルで共有をしました。

全体の印象として、おもちゃの表面的なかたちにとらわれすぎて、その本質を表現するに至っていないのが残念、という感じです。関係性のないデータどうしをグラフで比較したり、対象からかけ離れたメタファで特徴を説明しているのも、気になるところ。ここに例示したものは、学生たちの評価は高く、実際ていねいに魅力的に表現されています。しかし、この3歩先くらいに、こちらが期待しているゴールがあることを忘れないでほしいですね。


▲いいところまで来ているので惜しい・・・。本質を見極める力、練習して手に入れてください。


これまでのレーポートについてフィードバック

表現作品を自分の力で完成させた経験をふまえて、これまでの二つのレーポートについてもフィードバックを行いました。
レポート課題は「第1回授業:インフォグラフィックスとは何かを調べよ」「第3回授業:うごくおもちゃの背景にある科学的原理や機構について説明しなさい」でしたね。
ひとつ目のレポートについては、「インフォグラフィックス」の本質にたどり着けず、「ピクトグラム」のあたりで妥協してしまった人が多かったのが残念です。「ピクトグラム」もインフォグラフィックスの一部ととらえてよいと、私は思います。しかし、トイレのマークや信号はそのほんの端っこをかじったレベルです。
インフォグラフィックスマでたどり着いた人でも、その例がみんなこれ(Coffee Drinks Illustrated)だったのも、とても気になります。
相談してやるならもっと広く調べられたと思うし、誰かのレポートを見てまねただけなら残念な結果ですね。
二つ目のレポートは、ちゃんと調べて人たちのものは、とても面白かったです。
ラジオメータやぽんぽん船を調べた人たちは、かなり勉強になりましたね。

第2課題:新しいうごくおもちゃを提案する その1

さてここからは新たな課題に挑戦です。

ここまで調べて表現してきたおもちゃを手がかりに、新しいおもちゃを提案してみましょう。
この課題ではプロトタイピングがカギです。短期間のうちに、最低3回は「モノ」を作ってもらいます。
まず調べた様々な特徴から、そのおもちゃの本質を取り出して模型化してみてください。
提案するおもちゃはまずかたちにしてみて、その提案の妥当性を確認した上で、「モックアップ」として最終提示してください。
ヒントとして、今回の制作プロセスを図にしておきますね(画像クリックで拡大表示)。

今日は、グループで、おもちゃの特徴を再度抽出する活動まででした。制作時間は、実質的に次回1回分だけです。成果を楽しみにしています。

2012年10月23日火曜日

2012 第5回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その4

作品制作

本日は出張のため、柳先生に授業の進行をお願いしています。
手描き作品でどこまでできるか、勝負ですよ。

2012年10月16日火曜日

2012 第4回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その3

前回のスケッチを共有


おもちゃそれぞれについて、相当な数の表現が生まれました。これらすべてがこれから表現するための資源、財産になります。



調べてきた物理現象の共有(最後に回収)
グループごとに、それそれが興味を持ったおもちゃの持つ科学的、物理的なメカニズムを宿題として調べてきました。それを各ブループ内で共有しました。


チームで選ぶおもちゃの検討→決定



インフォグラフィックスのデザインについてのレクチャー

視覚表現の基本要素は「点」「線」「面」「配置」「色」
点:存在を表す。そのかたちによって特徴(属性)を表現。具象から抽象そしてデフォルメまでを表現でコントロールしよう。
線:つながりを表す。太さ、長さ、描画方法(タッチ)、方向などによって、つながりに意味を持たせることができる。
面:領域を表す。かたちによってその空間の特徴を表現。そのまま面で表す方法と線で囲む方法を使い分ける。
配置:位置関係には意味がある。左右=並列、上下=階層。関係の深いものほど近くに=群化、まとまり。
色:図と地の関係によって意味を持たせることができる。基本は同系色=調和、補色=対比。これらの度合いをコントロールすることで全体のバランスを整える。


▲図のタイトルは「インフォグラフィックスの世界」ですが内容はインフォグラフィックスの要素(画像をクリックで拡大)

図解表現のレベル
ピクトグラム:モノをシンボル化する
数値を視覚化:数の視覚化、量の視覚化。ピクトグラムを連続的に並べることで、数や量を線や面として表現できる。
データの関係性を視覚化:グラフ。複数のデータの関係性を見る道具。解釈は見る人に委ねられる。
因果関係の視覚化:チャート。時間軸(順序)を持った関係性の表現に用いる。
位置関係、階層の視覚化:地図。空間的な位置関係を示す。ある領域の中でのそれぞれの位置。包含関係の表現。
見えない部分の視覚化:図解。イラストレーションとは、光を当てる、明らかにする、という意味。見えない部分を切り開いたり透過させたり分解したりすることで、見えるように示す。



属性について再度抽出、ディスカッション(グループ)
グループで以下のポイントを再確認しながら、作品制作に向けた準備を進めます。

観察の精度をあげる
→具体的な視点、具体的なデータがないと、絵にならないんです。

水の軌跡、玉の軌跡、移動の軌跡
形状の精度
計り方:条件と結果の対応
複数の視点の組み合わせ


次週23日:インフォグラフィックス制作

対象としたおもちゃの概要、
動きの特徴とその背景にある科学的原理を図解しなさい。
※手描き、A3用紙一枚にまとめる。
進め方は・・・
・アイデアスケッチ(10バージョン程度)で徐々に完成度を上げていく
・清書としてケント紙にまとめる
・授業時間内に決着を付ける(その上で宿題としてさらなるバージョンアップを)

再来週30日:発表会、新しいおもちゃの企画

2012年10月9日火曜日

2012 第3回

第1課題:うごくおもちゃを図解する その2

今回も、表現しながら考えるトレーニングが目的です。

前回は、まずユーザとしておもちゃで遊ぶ体験を自分のからだの中に取り込むことと、止まった状態のおもちゃの観察=スケッチを通して、形態の特徴をなぞってみるという体験と理解のプロセスでした。


今回は、おもちゃの動いている状態の観察がテーマです。その方法として「測る」と「データの視覚化」という測った結果をどう表現すれば共有できるかを考え実践する時間としました。
前半は「測る」、後半は「データの視覚化」が活動の目的です。

測る


各グループで、前回予め想定した測定方法で、おもちゃの様々な属性をデータ化していきます。寸法や重さはもちろんですが、動きの奇跡や量、位置の変化など、おもちゃの動きに関係する属性・変数をどう取り出すかがポイントです。
・属性を見つけるための視点を持つ

データの視覚化


集めたデータを、他の人と共有できるように視覚表現に変換します。単にグラフや表にするのではなく、そのおもちゃの特徴が伝わるような表現の可能性を探る、練習課題です。
とはいえ今日も、たくさん描くことが第一のミッション。目標枚数は一人20枚!
・数や量を視覚化するための方法を探る

宿題

次回はいよいよグループごとに対象とするおもちゃを決め、そのインフォグラフィックスの制作に入ります。その準備として、以下を宿題としました。
今回用意されたそれぞれのおもちゃに関係する、科学的な原理(動くしくみや物理現象、化学反応)について調べ、報告しなさい(個人作業)。
・A4用紙縦位置
・全て手描き
・枚数指定なし
これを資料に来週、グループで対象とするおもちゃをどれにするかを決めていきます。

2012年10月2日火曜日

2012 第2回

第1課題:うごくおもちゃを図解する

さていよいよ、今日から具体的な演習内容に入りました。
前半の「うごくおもちゃ・・・」の題材に選ばれたのは、
「ぽんぽん船」
「ブリキのおもちゃ:ゼンマイ駆動」
「バケツの玉落とし」
「まゆ玉落とし」
「とことこ動物」
「ラジオメーター」
「水鉄炮」
「オルゴール」
授業開始前から、学生たちの目は釘付け!?
今日の大テーマは「観察」。写真に撮って調べた気になる、というのでは、デザイナーとしては話になりません。目をつぶってもその形や手に持った記憶を思い出せるくらい、充分に観察してもらいましょう。

1.おもちゃで遊ぶ

今日の最初のセッションは「遊ぶ」です。グループ単位でローテーションしながら、一通りおもちゃに触ってもらいました。
インフォグラフィックスの表現にあたって、まず何より、そのおもちゃを好きになってもらわなければなりません。30分という時間制限を設けましたが、まずはそれぞれのおもちゃで思いっきり遊んでもらいました。ただし、無心にただ遊ぶのではなく、そのおもちゃでの遊びの体験を体に染み込ませることが目的です。
水鉄炮は、予想どおり撃ち合いが始まり、男子数名は水びたし。風邪、ひかないでね・・・。
歓声が上がっていたのは「ぽんぽん船」。ポニョの世界ですね。「ぽこぽこぽこぽこ・・・」という何とも心地よい音を立ててバケツの中を動き回っていました。

points:
1人のユーザとして本気で対象を体験する。
まず、対象を好きになる。

2.おもちゃのスケッチ

第2セッションは、「かたちをとらえる」。対象のおもちゃをしっかり見て、そのかたちの特徴を線でなぞってもらいます。要はスケッチですが、大事なことは、対象をしっかり見て、自分の体全体を使って対象の特徴をつかむこと。上手に描くことが目的ではなく、これも自分が対象を理解するための経験として、様々な角度や視点で対象をとらえる練習です。

目標はひとり30枚以上。A4サイズの紙とペンや鉛筆を使って、ひたすらスケッチ。
デザインプロセスの中では「アイデアをたくさん出しなさい」と要求されますが、実際にアイデアをたくさん出した経験の無い学生クンにとっては、それがどれだけの手間と時間がかかるかの実感値もないでしょう。今回は、「アイデアを考える」というプロセスは省いて、とにかくたくさん描く、という体験に焦点を当ててみました。ひとつのおもちゃを30種類の視点から描いてみる、というだけでも充分に創造的な活動だとも思います。
ここからはちょっとサービスし過ぎかと思いましたが、いちおう、何をどう描くかという視点は提供しました。
・全体の輪郭線を描く
・光の当たっているハイライトの部分だけを描く
・逆に影の部分だけをとらえて描く
これらを四方から描くだけでもう3×4=12枚!
ほら、アッという間にたくさんの絵が描けてしまうんです。
さらにそのおもちゃを特徴づける「部分」のクローズアップ。これも何種類か描けばアッという間に30枚到達・・・のはずです。
ただ、今日はいろいろなおもちゃが用意されているので、他のおもちゃも描いて欲しいと思い、15枚くらい描けてところで他のおもちゃにローテーションしてもらいました。
活動時間は休憩を間にはさんで2時間。じっくり集中しててを動かせたと思います。


そして最後は、グループメンバーのひとりにモデルになってもらい、「使っている人」の姿も一緒に描いてもらいました。

points:

たくさん描くためのコツをつかむ。 観察=描くこと。写真のトレースでは何も解らない。

3.振り返り

今日の活動内容を全員で振り返るために、それぞれのスケッチを床に並べてみました。

ところで、この並べ方というのも重要。ただ置けば良いのではなく、人に見てもらうのだから、重なっていたり曲がったいたりするのはNG!。こういった「お作法」もしっかり意識してもらわなくてはね。
他の人の表現もしっかり見て、30枚という量としての意味や価値を認識してもらうとともに、短時間でたくさん描くための描き方や、資料として使える記述方法のしてのスケッチの可能性・・・などなど、それぞれが今日の体験を自分のモノとして意味づけができ、字部でもやり始めることが出来れば大成功という感じです。
points:
活動の結果を俯瞰し、アイデアの種を見つけ出す
モノの並べ方や配置にも、その人のデザインに対する心構えが現れる

さて、次回のテーマは「測る」。
今日は静止した状態のおもちゃを観察しましたが、次回は動きの観察です。
測るための道具をいろいろ準備して、授業に臨んでください。
定規や分度器は当たりまえ。計量カップや重さ用の測り、糸やアクリル板など、題材が解っているのでそれに合わせた軽装のための道具を用意できるかも、デザイナーの能力ですよ。

2012年9月25日火曜日

2012 第1回

オリエンテーション

今日は15回分の授業の流れの説明と、受講生たちの自己紹介に時間を使いました。
この授業はチームプレイを基本とするので、それぞれの興味関心や実力!?をお互いに知ることには意味があると思います。

授業の成果として、「全てを綴じる」という方法を取り入れたいと思っています。この授業のアウトプットは、写真も、スケッチも、メモも、レポートも、全てしっかり保存しておいてくださいね。