2012年10月2日火曜日

2012 第2回

第1課題:うごくおもちゃを図解する

さていよいよ、今日から具体的な演習内容に入りました。
前半の「うごくおもちゃ・・・」の題材に選ばれたのは、
「ぽんぽん船」
「ブリキのおもちゃ:ゼンマイ駆動」
「バケツの玉落とし」
「まゆ玉落とし」
「とことこ動物」
「ラジオメーター」
「水鉄炮」
「オルゴール」
授業開始前から、学生たちの目は釘付け!?
今日の大テーマは「観察」。写真に撮って調べた気になる、というのでは、デザイナーとしては話になりません。目をつぶってもその形や手に持った記憶を思い出せるくらい、充分に観察してもらいましょう。

1.おもちゃで遊ぶ

今日の最初のセッションは「遊ぶ」です。グループ単位でローテーションしながら、一通りおもちゃに触ってもらいました。
インフォグラフィックスの表現にあたって、まず何より、そのおもちゃを好きになってもらわなければなりません。30分という時間制限を設けましたが、まずはそれぞれのおもちゃで思いっきり遊んでもらいました。ただし、無心にただ遊ぶのではなく、そのおもちゃでの遊びの体験を体に染み込ませることが目的です。
水鉄炮は、予想どおり撃ち合いが始まり、男子数名は水びたし。風邪、ひかないでね・・・。
歓声が上がっていたのは「ぽんぽん船」。ポニョの世界ですね。「ぽこぽこぽこぽこ・・・」という何とも心地よい音を立ててバケツの中を動き回っていました。

points:
1人のユーザとして本気で対象を体験する。
まず、対象を好きになる。

2.おもちゃのスケッチ

第2セッションは、「かたちをとらえる」。対象のおもちゃをしっかり見て、そのかたちの特徴を線でなぞってもらいます。要はスケッチですが、大事なことは、対象をしっかり見て、自分の体全体を使って対象の特徴をつかむこと。上手に描くことが目的ではなく、これも自分が対象を理解するための経験として、様々な角度や視点で対象をとらえる練習です。

目標はひとり30枚以上。A4サイズの紙とペンや鉛筆を使って、ひたすらスケッチ。
デザインプロセスの中では「アイデアをたくさん出しなさい」と要求されますが、実際にアイデアをたくさん出した経験の無い学生クンにとっては、それがどれだけの手間と時間がかかるかの実感値もないでしょう。今回は、「アイデアを考える」というプロセスは省いて、とにかくたくさん描く、という体験に焦点を当ててみました。ひとつのおもちゃを30種類の視点から描いてみる、というだけでも充分に創造的な活動だとも思います。
ここからはちょっとサービスし過ぎかと思いましたが、いちおう、何をどう描くかという視点は提供しました。
・全体の輪郭線を描く
・光の当たっているハイライトの部分だけを描く
・逆に影の部分だけをとらえて描く
これらを四方から描くだけでもう3×4=12枚!
ほら、アッという間にたくさんの絵が描けてしまうんです。
さらにそのおもちゃを特徴づける「部分」のクローズアップ。これも何種類か描けばアッという間に30枚到達・・・のはずです。
ただ、今日はいろいろなおもちゃが用意されているので、他のおもちゃも描いて欲しいと思い、15枚くらい描けてところで他のおもちゃにローテーションしてもらいました。
活動時間は休憩を間にはさんで2時間。じっくり集中しててを動かせたと思います。


そして最後は、グループメンバーのひとりにモデルになってもらい、「使っている人」の姿も一緒に描いてもらいました。

points:

たくさん描くためのコツをつかむ。 観察=描くこと。写真のトレースでは何も解らない。

3.振り返り

今日の活動内容を全員で振り返るために、それぞれのスケッチを床に並べてみました。

ところで、この並べ方というのも重要。ただ置けば良いのではなく、人に見てもらうのだから、重なっていたり曲がったいたりするのはNG!。こういった「お作法」もしっかり意識してもらわなくてはね。
他の人の表現もしっかり見て、30枚という量としての意味や価値を認識してもらうとともに、短時間でたくさん描くための描き方や、資料として使える記述方法のしてのスケッチの可能性・・・などなど、それぞれが今日の体験を自分のモノとして意味づけができ、字部でもやり始めることが出来れば大成功という感じです。
points:
活動の結果を俯瞰し、アイデアの種を見つけ出す
モノの並べ方や配置にも、その人のデザインに対する心構えが現れる

さて、次回のテーマは「測る」。
今日は静止した状態のおもちゃを観察しましたが、次回は動きの観察です。
測るための道具をいろいろ準備して、授業に臨んでください。
定規や分度器は当たりまえ。計量カップや重さ用の測り、糸やアクリル板など、題材が解っているのでそれに合わせた軽装のための道具を用意できるかも、デザイナーの能力ですよ。